以前


わたしのことを
分かろうとした人が
いた



彼は
雨の降る道ばたで
優しく温かい唄を 奏でていた


こんなヒネくれたわたしが
純粋に惹かれたのは きっと
その優しさが 固すぎる偽善でなかったから
その温かさが 今までで一番心地よかったから



でもそれは 一年前のこと



わたしは幸せだったけど
追いついてくる怖さから逃げて
自ら孤独な野良猫に戻った


ドラマや映画じゃないから
あの時の約束も 彼は忘れているでしょう
約束のままで

「ねぇ あなたがふるさとに帰って
    離れてしまったら
  わたしのこと 唄につづって」




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